津波と環境

山形にある東北芸術工科大学写真展を観て来ました。
生命というものを包括的に感じさせてくれる刺激的なもので、ゆっくりと堪能しました。

その中に永幡嘉之さんという自然写真家の撮った写真が、短い説明文と共にありました。
それらは、津波が生態系にどのように影響したのかの調査の中で撮影されたものでした。

塩害により種類の激減したトンボや、孤立して残されていた湿地帯に生息していた種の回復の困難さ、
津波の影響は受けていないはずなのに逞しさの象徴のように捉えられた鮭など
興味深いことがらばかりでした。

その中にあったミズアオイショウジョウトンボの写真がとても印象に残りました。
ミズアオイという青い花を咲かせる植物は、湿地帯に生える絶滅危惧種だそうです。
しかし、その種子は泥の中で眠っていて、生育可能な場所になるのを待っています。
1年草の種子にはそのような特性があることが多いらしいのです。
そして、その種子がこの津波の衝撃で芽を出したのが、写真に写っているミズアオイというわけです。

津波で数々の植物や昆虫が姿を消す一方で、それがトリガーとなって始まる成長がある、
とても心に残る写真でした。

家に戻り、検索していましたら、永幡さんは1月8日から
河北新報の日曜日の朝刊に「津波と小さな生命」という連載をはじめていらっしゃるそうです。

写真展は、永幡さん以外のものも、とても印象的でした。
26日(木曜日)までと、あまり日にちは無いのですが、機会があれば是非ご覧ください。