優先順位

先日また野蒜を訪れていたときに聞いた言葉です。

「あれから1年たって、被災者の取材なども随分あった。
 だけど、『安全』に対する施策って何も進んでいないような気がする。
 アウターライズで津波が来るという話もあるのに
 復興復興で、海に近いところにもいっぱい人がいて。
 もし今津波が来たら、あの人たちはどこへ逃げるんだろう。」

大きな災害が起こって、なんとなくしばらくはもうないような気がしてしまうけれども
そういう気持ちが積み重なって、また同じようなことを繰り返してしまうのかもしれません。

もちろん、立派な安全な街が造られていくのでしょうけれども
それより前にやるべきことがあるはずです。

去年の夏ころにも
「とにかくまず、山に逃げる道を整備するのが先だろう。
 高台移住なんて言ってる間に、また被害が起きるのではないか」
という声を聞きました。

沿岸の道は海に沿って発達していることが多いので
高いところに逃げるという目的には合致しないのです。
高台移住が実現したとしても、沿岸に居合わせる人というのはいるわけで
そうでないと野蒜海岸はもう利用不可能になるわけで
そういう人々のためにもずっと必要なのが避難のための道路です。

1年前に被災された方が、今でもこのようなレベルで
津波再来の恐怖におびえるというのは、とても悲しいことだと思います。

お聞きした人は、自分なりの避難路をみつけて、ときどき確認しているそうです。